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景品やプレゼント配布時には注意!広報PR担当者が「景品表示法」について知っておきたい7つのこと

広報PR施策として景品やプレゼントを含む企画を実施するとき、しっかりと目を通しておきたいのが「景品表示法」です。消費者を虚偽や誇大な表示から守るための法律ですが、一方で事業者側のマーケティングを正しい方向へ導いてくれる法制でもあります。本記事では、そんな景品表示法について知っておきたい7つのポイントについて解説します。

そもそも「景品表示法」とは?

「景表法」と略されることも多い、景品表示法。正式名称は、「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」というものです。その役割は、虚偽や誇大な広告表示及び不当な景品の提供を排除し、消費者がより良いサービス・商品を自主的かつ合理的に選択できる環境を守ること。そのため、この法律においては、実際よりも良く見せかける表示や過大な景品を付した販売を禁止しています。

つまり、景品表示法は「表示」と「景品」に対する規制なのです。では、具体的にはどんな表示が禁止されているのか、詳細を確認してみましょう。

「景品表示法」とは

不当な表示の禁止

1つ目の禁止事項は、「不当な表示」。「表示」とは、サービスや商品の品質・機能・価格などを示す情報のこと。商品の容器・包装、説明書面、チラシ、ポスター、新聞、雑誌などが表示にあたります。

消費者が自らの希望に則って正しいサービスや商品を選択するためには、正しい表示が必要です。しかし、商品・サービスの品質や商品・サービスの価格等が実際よりも著しく良いと見せかける表示が行われた場合、実際とは異なる表示を信じた消費者は合理的な商品・サービス選択ができなくなってしまう可能性があるのです。そこで、景品表示法では次の不当表示を禁止しています。

1.優良誤認表示(5条1号)
商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示

2.有利誤認表示(5条2号)
商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示

3.商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ内閣総理大臣が指定する表示(5条3号)

※ 具体的な内容については以下の引用元先で記載

引用:表示規制の概要|消費者庁

過大な景品類の提供の禁止

2つ目の禁止事項は、「過大な景品類の提供」。景品類とは、顧客を誘引する目的でサービスや商品の取引に付される粗品やおまけ、賞品などの経済上の利益のこと。来店者に提供される粗品や商品の購入者に抽選で提供する賞品などが景品類にあたります。くじ、懸賞、賞金、抽選などをする場合に確認が必要です。

一般的に、サービスや商品は、そのものの品質や価格において競争が行われることで、事業者と消費者に利益をもたらしています。しかし、過大な景品を付した販売が実施されると、消費者が景品に誘引されて低品質や割高な商品を購入するきっかけになり得ます。また、サービスや商品そのものではなく過大な景品による競争が激化すると、消費者の不利益につながる可能性もあります。そのため、この項目では過大な景品類の提供を禁止しているのです。

景品規制は細かく分類されており、それぞれで提供できる景品類の限度額などが定められています。また、業種によっては一般とは異なる景品規制が指定されている場合もあります。限度額や告示などの詳細は、消費者庁「景品規制の概要」から確認してみてください。

参考:景品表示法|消費者庁

景品表示法に違反したときの罰則・リスク

ここまで説明してきたように、消費者の利益を守るため、景品表示法には表示・景品に関するさまざまな規制が示されています。では、事業者が法律に違反した場合、どんな罰則を受けたり、リスクが生じたりするのでしょうか。2つのポイントに分けて解説します。

社会的信用が失われる

「コーポレートガバナンス」や「コンプライアンス」という言葉を最近よく耳にするのではないでしょうか。前者は「企業管理・統治」、後者は「法令遵守」を意味します。景品表示法は法律のため、仮に違反すればコンプライアンス違反であることになります。コンプライアンス違反が生じれば、その企業はコーポレートガバナンスが効いていない、つまり健全性の低い企業だと見なされるのです。

また、下記の措置命令を受けた場合、企業名及び違反の内容等が公表されます。これをメディアが報道することで、景品表示法に違反した事実は広く知られてしまいます。

そうした状況になれば、消費者だけでなく、事業のパートナーや株主、メディアといったステークホルダーからの信頼が失われることは想像に難くないでしょう。

課徴金制度が適用される

課徴金制度とは、景品表示法に違反した際に科せられる罰金のこと。景品表示法に違反した状態で得た利益の一部を課徴金として納めることになります。

課徴金の納付が命じられるまでのプロセスは次の通りです。

1.措置命令
違反が疑われる事業者がいた場合、公正取引委員会・消費者庁・都道府県知事が連携して事業者への事情聴取や情報収集を行う。その後、違反が認められると、誤った表示や過大な景品類の排除や再発防止策の実施を命じる「措置命令」が下される。

2.課徴金の納付命令
措置命令ののち、事業者には弁明の機会が与えられるが、それが認められれば課徴金の付与は免除される。一方、弁明が認められない場合には、過去5年間までさかのぼって利益の3%相当の課徴金を納付する。

※措置命令に従わない場合、刑事罰(最大2年の懲役・最大300万円の罰金)が科せられる。

広報PR担当者が知っておきたい景品表示法にまつわる7つのこと

表示・景品類のそれぞれに対して定められたルールや違反した場合の罰則などをある程度まで理解できたら、より詳しい内容に踏み込んで、景品表示法についてさらに理解を深めましょう。ここからは、プラスαとして認識しておきたい7つのポイントを解説します。

1.優良誤認表示

「不当な表示」にあたる行為で、サービス・商品の品質や規格などの不当表示のこと。「実際よりも著しく良いものであると示す」「事実と相違して、競合他社のサービス・商品よりも著しく優れていると示す」などが該当します。

【違反事例】
(1)内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
※例:カシミヤ混用率が80%程度のセーターに「カシミヤ100%」と表示した場合

(2)内容について、事実に相違して競争業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
※例:「この技術を用いた商品は日本で当社のものだけ」と表示していたが、実際は競争業者も同じ技術を用いた商品を販売していた。

引用:表示規制の概要|消費者庁

2.不実証広告規制

不実証広告規制は、「優良誤認表示」に分類される規制。表示する効果や性能についての根拠が不透明で優良誤認表示の疑いがある場合、消費者庁は事業者に対して表示の合理性を裏付ける資料の提出を求めます。

この資料が提出されない場合、当該サービス・商品の表示は不当表示とみなされ、措置命令や課徴金の納付命令につながります。合理性が認められるには、次の条件を満たさなければなりません。

【合理性を認める条件】
1.提出資料が客観的に実証されたものであること
2.表示されている効果・性能と提出資料によって、実証された内容が適切に対応していること

【違反事例】

  • ダイエット食品において、食事制限をすることなく痩せられると表示しているが、実際にはその裏付けとなる根拠を示す資料が存在しない
  • 空間除菌グッズにおいて、商品を使用するだけで空間の除菌が可能であると表示しているが、実際にはその裏付けとなる根拠を示す資料が存在しない
  • 家庭用医療機器において、機器の継続使用で特定の疾病や症状が緩和・治癒すると表示しているが、実際にはその裏付けとなる根拠を示す資料が存在しない

参考:事例でわかる景品表示法

3.有利誤認表示

「不当な表示」にあたる行為で、サービス・商品の価格や取引条件などの不当表示のこと。「実際よりも著しく有利な取引であると示す」「競合他社のサービス・商品よりも著しく有利に取引できると示す」などが該当します。

【違反事例】
(1)取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
※例:当選者の100人だけが割安料金で契約できる旨表示していたが、実際には、応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていた場合

(2)取引条件について、競争業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
※例:「他社商品の2倍の内容量です」と表示していたが、実際には、他社と同程度の内容量にすぎなかった。

引用:表示規制の概要|消費者庁

4.一般消費者に誤解を与える可能性がある表示

「優良誤認表示」や「有利誤認表示」以外にも、景品表示法に基づいて定められた「6つの告示」があります。6つの告示で、事業者は自社が提供するサービス・商品の取引やそれに関連する事項について、一般消費者に誤解を与える可能性がある表示を排除するよう求められているのです。

さまざまな種類のサービス・商品がある中で、「優良誤認表示」や「有利誤認表示」だけではカバーしきれない「紛らわしい表示」をなくすためのルールだと理解しておきましょう。

【6つの告示】
・無果汁の清涼飲料水等についての表示
・商品の原産国に関する不当な表示
・消費者信用の融資費用に関する不当な表示
・不動産のおとり広告に関する表示
・おとり広告に関する表示
・有料老人ホームに関する不当な表示

引用:事例でわかる景品表示法

また、2023年10月1日より、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」も加わりました。いわゆるステルスマーケティングがこれに該当します。

5.二重価格

価格は、消費者がサービス・商品を選択する際にもっとも重要な情報のひとつ。その価格に関する情報において、禁止されているのが二重価格表示です。比較対象価格の表示が適切ではない場合、「有利誤認表示」に該当するおそれがあります

【違反事例】
(1)家電量販店の販売価格において、競合店の平均価格から値引きすると表示しながら、実際よりも高く設定した平均価格から値引きしていた
(2)メガネの販売価格において、フレームとレンズ一式の価格を「メーカー希望小売価格の半額」と表示したが、実際にはメーカー希望小売価格は設定されていなかった

参考:事例でわかる景品表示法

考える男性

6.プレゼントや景品類の制限

景品表示法では、過大な景品類の提供を制限または禁止しています。

■一般懸賞に関するもの
商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供することを「懸賞」といい、共同懸賞以外のものは、「一般懸賞」と呼ばれています。

■共同懸賞に関するもの
複数の事業者が参加して行う懸賞は、「共同懸賞」として実施することができます。

■総付景品に関するもの
一般消費者に対し、「懸賞」によらずに提供される景品類は、一般に「総付景品(そうづけけいひん)」、「ベタ付け景品」等と呼ばれており、具体的には、商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する金品等がこれに当たります。商品・サービスの購入の申し込み順又は来店の先着順により提供される金品等も総付景品に該当します。

これら3つの懸賞については、懸賞の最高額及び総額の点から限度額が決められています。

なお、オンラインゲームの有料ガチャにおいて、異なる絵柄のついたアイテムなどを販売し事業者が指定する絵柄の組み合わせを達成した利用者に対して特別なアイテムなどを提供する、「カード合わせ」の方法を用いたコンプガチャは金額にかかわらず禁止されています。

■業種別景品告示
特定の業種については、業界の実情等にかんがみ、一般的な景品規制とは異なる内容の業種別の景品規制が、景品表示法第4条の規定に基づき、告示により指定されています。
現在、(1)新聞業、(2)雑誌業、(3)不動産業、(4)医療用医薬品業、医療機器業及び衛生検査所業の各業種について告示が制定され、これらの告示により、各業界において提供される景品類に制限が設けられています。

■オープン懸賞(参考)
他方、新聞、テレビ、雑誌、ウェブサイト等で企画内容を広く告知し、商品・サービスの購入や来店を条件とせず、郵便はがき、ファクシミリ、ウェブサイト、電子メール等で申し込むことができ、抽選で金品等が提供される企画には、景品規制は適用されません。このような企画は、一般に「オープン懸賞」と呼ばれています。

引用:消費者庁 景品規制の概要

【違反事例】
取引価格が1,000円の抽選くじにおいて、最高で20,000円(取引価格の20倍)を超える金額に相当する景品を提供した

参考:事例でわかる景品表示法

7.公正競争規約

公正競争規約とは、事業者や事業者団体が表示・景品類の関連事項について自主的に設定する業界のルールのこと。この規約を定める事業者等は、消費者庁長官および公正取引委員会の認定を受けている必要があります。

表示・景品類のそれぞれにルールが定められていますが、特に表示規約には多くの取り決めがあり、消費者がサービス・商品を適切に選択できるよう設計されています。

【違反事例】

  • 不動産広告における駅からの徒歩分数の計測において、公正競争規約を遵守しなかった
  • 牛乳の成分表示において、「特濃」とありながら公正競争規約を遵守しておらず、実際には「特濃」と表示できない商品だった

参考:事例でわかる景品表示法

景品表示法に関する事例

自社のサービス・商品の販売にかかる表示や景品類が景品表示法に違反していないかを判断するのは、なかなか難しいもの。そんなときは、事例を参考にしてみましょう。

特に、消費者庁が発信している「事例でわかる景品表示法」には、景品表示法を網羅するかたちでさまざまな違反事例が掲載されています。また、消費者庁のウェブサイトにおいて「景品表示法関連報道発表資料」を見ると近時の違反事例が公表されています。自社が違反事例に類似する行為をしていないか、目を通してみると良いでしょう。

景品表示法に関するガイドラインを確認しておこう

すべての事業者が適正な事業を行えるよう、またすべての消費者の利益が守られるように定められた、景品表示法。一見すると複雑で、遵守できるかどうか不安を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで便利なのが、消費者庁が制定している景品表示法に関するガイドライン。インターネット上で気軽に確認できるので、ぜひ一度確認してみてください。

キャンペーンの開催を知らせるプレスリリースや新商品を紹介するSNS投稿など、広報PR担当者が景品表示法を意識しなければならない場面は、意外と多くあるものです。本記事を参考に景品表示法への理解を深め、広報PR施策を成功させましょう。

参考:消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

広報PR担当者が知っておきたい景品表示法に関するQ&A

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この記事の監修者

長野英樹

長野英樹

2022年PR TIMES入社。社内弁護士として法務案件を担当。April Dream2023プロジェクトメンバー。April Dreamプロジェクトにおいては、主に企業の方への対応を担当。企業様向けウェブセミナーにおいて夢を発信した後の変化や夢の考え方、夢のプレスリリースの書き方などを解説。

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