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取り上げたくなるプレスリリースの4つのポイント。2025年の注目キーワードにも言及|株式会社神戸新聞社

プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営する株式会社PR TIMESは、サービスの利用の有無にかかわらず、広報PRについて学びたい方を対象としたセミナーを定期的に開催しています。11月11日には神戸新聞社の後援で、「事業拡大につなげる広報・PRーメディアが取り上げたくなる視点とはー」をテーマにセミナーを開催しました。

第一部の株式会社ワールドパーティーのお話に続き、第二部では神戸新聞社から記者の谷口夏乃さんを迎え、「記者が取り上げたくなるプレスリリース」についてお話しいただきました。

本レポートは、当日のお話を元にまとめています。

第一部:業績のV字回復に貢献した傘メーカーの広報PR|株式会社ワールドパーティー

神戸新聞社(兵庫県神戸市):最新のプレスリリースはこちら

神戸新聞社 編集局経済部 記者

谷口 夏乃(Taniguchi Natsuno)

1998年千葉県市川市生まれ。2021年神戸新聞社入社。報道部で半年間の警察署担当を経て、同年10月丹波総局に赴任。地域のイベントから行政ニュースまで幅広く取材に従事。24年3月から現職。学生時代からファッションに強い関心を持ち、アパレル業界を中心に担当するほか兵庫県内の地場産業や中小企業関連の話題もカバーする。

背景に社会課題が見えるトピックに着目

神戸新聞は兵庫県を中心に発行している新聞で、兵庫県全体が取材対象の地域です。126年の歴史があり、その間、阪神淡路大震災も経験してきました。私は2021年に入社し、報道部などを経て今年の春から経済部に所属しており、主に県内の中小企業の取材を担当しています。企業を取材する際は、ニュース性の高いものだけでなく、私自身が大学時代に勉強した分野や、今関心の高いSDGs、ジェンダー、ファッション、大量生産大量廃棄などのテーマに注目して取り上げることが多いです。

例えば、最近は兵庫県の企業である株式会社フェリシモの取材をしました。性教育ツールの「性とからだとこころを知るカード」という商品が、キッズデザイン賞を受賞したと同社の広報の方からご連絡をいただいたのがきっかけです。私が記事化する際に大切にしているのは、ただの企業紹介に終わらせないということ。そのため、商品をどういうふうに取り上げたら読者の方に「新しい情報を提供できるか」「商品を使ってもらえるか」などの観点で考え、開発に至った背景に迫る記事を書くことにしました。

この商品は開発担当の方が幼少期に、性に関する話題を親御さんとできず、モヤモヤを抱えていたという実際の経験から生まれたそうです。自分自身が親になったことで、子どもに同じ思いをさせたくないと考えた結果、性に関することを話すきっかけとなるカードを商品化したとのこと。プレスリリースの見出しでは「キッズデザイン賞の受賞」を打ち出していますが、新聞の記事にする際にはそこを入口として、開発の背景にある社会課題や開発者の思いなどを含めて紹介することで、読者にとって有意義な情報となるように意識しています。このように、背景に注目すべき社会課題などがあるニュースは、記事として取り上げる意義を見つけやすいですね。

株式会社神戸新聞社プレスリリース

参考:性教育が家庭でできる「性とからだとこころを知るカード」が第18回キッズデザイン賞を受賞

記者が注目するプレスリリース4つのポイント

ここからは、谷口さんが普段プレスリリースをチェックする際に、特に注目している4つのポイントを紹介していきます。

1.新規性

新聞という媒体は新しい情報を伝えることが目的なので、やはり新しい事業や商品・サービスには注目しています。ただ、みなさんの固定観念を覆すような斬新さ、珍しさのあるものは多くはないので、私にとって新しいものであれば、その視点から取り上げることもあります。そのため、ある記者には刺さらなかったけれど、ほかの記者には刺さる、ということもあるので、幅広くアプローチするのがよいと思います。

2.社会性・地域性

こちらも新聞の特性ですが、社会の動きを常に報じることが求められます。社会的なトピックとして特に注目しているのは、各企業でのSDGsへの取り組み。それから人手不足があらゆる業界で問題となっているため、どんな対策をしているのかについても関心が高いですね。また、当社が阪神淡路大震災を経験していることもあり、防災に関する情報には常に注視しています。

3.ストーリー

先ほど紹介したフェリシモさんの事例のように、「なぜその商品・サービスを作ったのか」という点は、非常に気になるんですよね。新しいことを始めるには、必ず何かしらのきっかけがあるはずなので、背景にあるストーリーが興味深いものであれば取材につながりやすいと思います。実際に取材する際には、読者のみなさんが気になることをしっかり紹介できるよう、多角的に質問して解き明かすように意識しています。

4.客観性(定量的データ)

新聞で情報を伝える際に重要となるのが、客観性です。そのため、定量的なデータや数値で根拠を示せるかどうかというのも、記事化の際の重要なポイントとなります。客観的な根拠やデータがなかった場合は、取材をしても記事化を見送ることがあります。数値を入れることで注意を引きやすく、記事のタイトルや見出しに使うことが多いため、プレスリリースにはできる範囲で記載するのがおすすめです。

参加者から、神戸新聞社記者・谷口さんへ質問

参加者のみなさまからいただいた質問のうち、特に多かったものを谷口さんに回答いただきました。ここからはその内容をご紹介します。

──SDGsへの取り組みについて注目しているとのことですが、どんな内容だと取り上げたくなりますか。

中小企業の方から、何に取り組んだらいいかわからないというお声をよくいただくので、他社の具体的な事例などを紹介するようにしています。特に社員数10〜30名ほどの規模の企業さんの取り組みを掲載することで、「うちにもできそう」と思っていただけるようです。他社にはまねできない大規模なものより、小さなこと、身近なことのほうが、「これもSDGsになるのか」と気づくきっかけになりやすいと思って取り上げています。「うちでやっていることなんて大したことではない」と思わずに、ぜひSDGsに関する取り組みを発信していただきたいです。

──受動的な情報収集と能動的な情報収集の割合はどれくらいですか。 また、能動的な情報収集で見つけてもらうために、企業ができることはどんなことでしょうか。

所属する部署にもよりますが、私がいる経済部の場合は、取材対象となる企業がプレスリリースを出されるので、どちらかというと受動的な情報収集のほうが多く、だいたい6〜7割を占めると思います。残りの3〜4割は、自分が興味あるものについて調べます。Googleで検索することが多いので、タイトルは非常に重要です。適切なキーワードやタグ付けなどは、検索で引っかかるために効果的なので、工夫いただくとよいと思います。

──どんな情報発信が増えると、記者として記事を書きやすくなりますか。

よく取材に結びつく例としては、いまだに持ち込みが有効ですね。新聞社や記者クラブに直接「こんな話があるんです」と話題を持ってきてくださる方が結構いらっしゃるのですが、記者もその場で直接お話が聞けるので効率がいいと思います。すぐに取材につながらなかったとしても、関連のある話が出たときに「そういえばあの企業の方がこんなことを言っていたな」と思い出して取材を依頼することもあります。あとは、新聞社はいまだにファックスをたくさん使っているので、メールだけでなくファックスで送っていただくと目に留まりやすいかもしれません。できる限り接点を作っていただけると、記者としては検討しやすいかと思います。

──今注目しているトピックはどんなものでしょうか。

来年の1月に震災から30年を迎えます。そのため、防災関係の話をたくさん取り上げたいと思っており、各企業がどういうふうに防災に取り組んでいるかについてアンテナを張っています。防災グッズに関する話題や自社のBCP対策などについて、たくさん発信いただきたいです。

株式会社神戸新聞社

まとめ:記者の興味を知り、目に留まる工夫で掲載確率を上げる

現役の経済部の記者がどんな視点でプレスリリースを見ているのか、どんな要素があれば記事化につながりやすいのかを実際に取り上げた事例も交えて紹介されたお話でした。情報収集の傾向や記者の興味・関心事項を知ることで、より深く広報PR活動に活かしていただけるのではないでしょうか。

神戸新聞社の谷口さんのお話から学ぶポイントは4点です。

  • プレスリリースの背景に社会課題や思いがあると、記者の興味を引きやすい
  • 記者によって注目する点が異なるため、幅広くアプローチするとよい
  • 新聞は客観的なデータが重視されるため、数値を掲載するとよい
  • 検索で情報収集されることを踏まえ、キーワードやタグ付けなどの工夫も重要

今回ご紹介いただいたポイントを押さえるだけで、記者の目に留まる確率はぐっと高まるはずです。ぜひ実践してみてください。

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この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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