2022年8月に五島列島・福江島にオープンしたオーシャンビューリゾート「カラリト五島列島」を皮切りに、九州全域での事業展開を目指す株式会社カラリト。「Hotel(短期滞在)」「2nd Home(中長期滞在)」「Local Good(地域還元)」の3つのキーワードを軸にし、誰もが自分らしく、晴れやかな生き方を選択できる社会の実現を志しています。
本記事では、株式会社カラリトの代表取締役を務める平﨑雄也さん、「カラリト五島列島」支配人の原野秀敏さん、広報PRを担う丹羽夏海さんの3名にインタビュー。創業の経緯や未経験者が中心となった開業の舞台裏、「カラリト“らしさ”」を大切にしたプレスリリースについてお話を伺いました。
株式会社カラリト(長崎県五島市):最新プレスリリースはこちら
株式会社カラリト 代表取締役
1984年熊本県出身。東京建物株式会社に入社後、不動産の事業開発や経営企画業務に従事。長期休暇のたびに帰郷する生活を過ごしていたところ、いつの間にか九州以外に興味をなくしてしまう性格に。残りの人生はふるさとである九州の魅力を社会に発信していきたいと決意し、2020年に株式会社カラリトを創業。その後は、五島列島・福江島に移住し、「ふるさとの情景をつくる」というコンセプトのもと、ホテルをはじめとするライフスタイル施設を運営中。
カラリト五島列島 支配人
前職は「スポーツの道であらゆる人たちを助けたい」とアディダスジャパンに入社。アルバイトから社員に昇格し、店舗のマネジメントなどに従事。「カラリと晴れた空のように、飾らない自分に戻れる居場所をつくりたい」という夢に魅せられ、東京五輪後に株式会社カラリトへの転職を決意し、家族とともに島に移住して現職。
株式会社カラリト 広報
大学進学を機に出身地の愛知から秋田へ。在学中に留学などを経験し、観光業やホテル業に興味を持つ。大学卒業後、新卒として株式会社L&Gグローバルビジネス(現株式会社水星)に入社。ホテルスタッフとして働く傍ら、SNSなどで施設情報の発信を担当。2022年5月に株式会社カラリトへ転職。レセプションを経て「カラリトのことを外に発信していきたい」と広報PR担当に。
自分らしくいられる時間、誰かにとっての居場所をつくる
──まず、株式会社カラリトの創業までの背景について教えていただけますでしょうか。
平﨑さん(以下、敬称略):僕は大学卒業後、13年ほど不動産会社に勤め、都市開発の仕事をしていたのですが、いつかは地元の九州に戻って地域の活性化に貢献する仕事をしたい、という思いがありました。莫大なお金を使って東京と同じような街をつくる都市開発にどこかつまらなさを感じていたのかもしれません。
そんなことを考えていたときに、仕事で長崎県の五島列島のひとつ福江島を訪れる機会がありました。初めて来たのにとても懐かしい感じがして、自分が受け入れられているような感覚や、誰もが手を貸してくれる地域の温さなど、福江島が持つ「ふるさと感」に惚れてしまったんです。
今の日本では「自分らしくいられる時間」を持つことが難しいと感じる人も多いと思います。飾らない自分に戻れ、いつでも迎え入れてくれる場所を提供したいと思い、仲間と一緒に創業を決めました。
ゲストと地域をつなぐハブになりたい
──カラリト五島列島のオープンに際しては、あえてホテル業界未経験の方を中心にスタッフを採用されたそうですね。
平﨑:オープン当初は35人のスタッフのうち、ホテル業界経験者は2人だけでした。実際に応募いただいた方は、ホテル勤務の経験者が多かったのですが、僕はホテルではなくて誰かにとっての「居場所」をつくりたくて、オープンを決めています。ですので、経験者の方々が「ホテルとはこうあるべき」と話すことにすごく違和感があったんです。
もちろん、経験者を採用したほうが即戦力になることはわかっています。しかし、やりたい世界観を実現するには既存のホテルとは少し離れたほうがいいと思い、「島を好きになれる人」「一緒にご飯を食べたいと思える人」という点を重視して採用しました。
──経験者が少ないことで、苦労されたこともあったのではないでしょうか。
原野さん(以下、敬称略):オープン当時は、何をするにも手探りで時間がかかってしまうということはありましたが、ホテルの当たり前に縛られず、カラリトならではの温かさを表現できたと思います。
また、「ゲスト」と「ホスト」という壁はつくらず、懐かしさや温かさを感じていただけるようなコミュニケーションを大切にしていて。ゲストの中には、スタッフの対応に魅力を感じてリピーターになってくださる方も多く、「〇〇さんに会いたくてまた来ました」という声をいただくこともあります。
──お客さまだけでなく地域の方とも積極的に関わられていますよね。
原野:「飾らない自分にかえるひととき」の先にある「ふるさとの情景をつくる」を実現するために、カラリト五島列島がゲストと地域をつなぐコミュニケーションのハブとなることを目指しているんです。
今年スタートしたプランのひとつなのですが、地域が主役になることをしたくて、五島の魅力を伝える「農家の収穫体験」を企画しました。
参考:【カラリト五島列島】おいしい五島の野菜をほおばる!島の農家との会話を通じた土いじりと収穫された野菜にかぶりつけるプランを1/10より販売開始!
このほかにも、カラリト五島列島と同時期に誕生したクラフトジンの蒸留所「五島つばき蒸溜所」と「おくうら夢のまちづくり協議会」という地元の団体とともに、『五島「風景のアロマ」体感プラン』も企画。「五島のあらゆる地区がカラリトを通して魅力的に見える」ということを意識して始めた取り組みですが、ゲストも地域の方々も喜んでくださっているのでよかったなと思います。未経験のメンバーが多かったからこそ、ホテルの常識にとらわれずにできたことだと思いますね。
参考:【カラリト五島列島】五島クラフトジン蒸溜所と歴史遺産の見学、五島食材の特別ディナーが体験できるプランを11/22より発売開始!
情緒ある写真と文章で「カラリト“らしく”」発信
──ここからは、丹羽さんが現在行っている広報PR活動についてお伺いさせてください。
丹羽さん(以下、敬称略):会社としてどのような想いでどのような活動をしているのかを、広く知っていただくことを一番の目的としています。オープン当初は、「新規開業のホテル」としてメディアに取材していただくことも多く、ホテルとしての認知を上げられたと思います。そのほか、私たちが地域と一緒に取り組んでいる『Local Good Project』の活動を通した情報発信をしていることで、「ふるさとの情景をつくる」というミッションに基づいた地域との活動を、少しずつ知っていただけるようになっていると感じています。
──丹羽さんが書かれているプレスリリースは人の表情がよく出ていますが、どのようなことを大切にしていますか。
丹羽:プレスリリースにどの写真を使うのかは、こだわっているポイントのひとつですね。無機質な写真では人の温かさやそこに流れる空気感、どのような体験ができるのかが伝わらないので、「人の表情」があることはマストだと思っています。
例えば、農業体験のプレスリリースではお子さんが実際に収穫を体験している姿を見せることで、どんな体験ができるプランなのかをより具体的にイメージしていただけるのではないかと考えました。
参考:【カラリト五島列島】おいしい五島の野菜をほおばる!島の農家との会話を通じた土いじりと収穫された野菜にかぶりつけるプランを1/10より販売開始!
また、「喫茶うみかぜ」オープンのプレスリリースもビジュアルにこだわったもののひとつです。喫茶うみかぜの顔となるキービジュアルを撮るため、お天気と相談し、また当日も風やすぐに溶けるアイスクリームに苦戦しながらカメラマンさんと協力して撮影しました。結果、「来たい」と思っていただけるようなインパクトのある写真に仕上がり、プレスリリースも多くの方に好評いただきました。
参考:カラリト五島列島に、「喫茶うみかぜ」オープン。五島の魅力を再編集し、発信する“コミュニケーション・ハブ”を創る。9/21-23に島内のお店とコラボレーションし、オープニングイベント実施。
──海と空、こんな環境でクリームソーダを味わえるんだな、と伝わります。あと、語りかけるような文章もすてきだなと感じていました。
丹羽:はじめの頃は、プレスリリースをどうやって書けばよいのかすごく悩んだんですよ。企業が出す文書としてカッチリ書いたほうがいいかなと思いつつ、難しいなと感じていて。「カラリト“らしさ”」を出すにはどうしたらよいのか、平﨑と一緒に考え、地域とのつながりやふるさと感、情緒性を大切に、「情景が思い浮かぶ」プレスリリースにしたいと思うようになりました。言葉をチョイスするときにも、そこを意識しています。
平﨑:そうですね、あとは五島の持つ器の大きさやカラリトの愛嬌みたいなものを表現したいと思っていますね。例えば、海の上で楽しむSUPはきれいに乗りこなしている写真よりも、海に落ちる瞬間の写真で楽しさを表現して、いかに自分ごと化してもらうか。そういう「自分にとって身近な存在」と思っていただけるような写真や文章をとても大切にしています。
九州全県にふるさとの情景を展開していく
──「カラリト“らしさ”」の表現にこだわりがあるんですね。最後に、これからのカラリトの展望についてお聞かせください。
平﨑:九州各地でふるさと感を訴える事業を展開していきたいと考えています。例えば、子どもや大人問わず自分を認められるような学びの場や、SNSとは異なるクローズドなコミュニティを形成できる場を各県にひとつはつくっていきたいですね。
そのためには、ホテルを中心とした施設をつくっていくことがスタートだと思っています。ハード(施設)ができれば人が集まりますし、人が集まれば会話が生まれてなにか新しいことに取り組んでいくはずです。「九州ってよかとこよね(いいところだね)」と思っていただければうれしいですね。
原野:ホテル「カラリト五島列島」としては、会社のビジョンである「九州全域にふるさとの情景をつくる」と同じく、「五島列島にふるさとの情景をつくる」ということが一番の優先事項だと感じています。それがカラリトの絶対的なブランドイメージの構築につながると思っていて、まずはその確固たる部分をつくりあげていくことが、今の僕の使命だと思っています。
ほかには、ゲストに温かさを感じていただけるような商品やサービスを考えることもそうですし、「カラリト五島列島」をゲストだけでなく地域の方をはじめ、あらゆる方々が集まれる場所にしていく。そのうえで、さまざまな角度から五島列島の魅力を発信していきたいと思います。
丹羽:常に新しいことに取り組む会社なので、広報PRとしては、メディアや生活者、地域の方々とどのようにコミュニケーションを取ればよいのか、どうすればわかりやすく伝えられるのかを考えながら情報を発信していきたいと思います。
今後、九州全域に事業を展開していくうえでは、「ふるさとの情景をつくる」を実現できるよう、各県の魅力を発信していくことが広報PRの責務だと考えています。
まとめ:宿泊施設に留まらない独自の価値提供を目指す
固定観念にとらわれず「カラリト“らしさ”」を大切にしながら、五島列島や施設の魅力を発信し続ける株式会社カラリト。平﨑さん、原野さん、丹羽さんにお聞かせいただいた広報PRにつながるポイントは以下の通りです。
- 固定観念にとらわれず、「カラリト“らしさ”」を大切にしたコミュニケーションを確立
- プレスリリースには情緒を持たせ、人の表情がある写真や情景が思い浮かぶシーンを選ぶ
- 発信する内容は親しみやすさや身近さを感じてもらうこと、「自分ごと化」する視点を重視
地域とのつながりを大切にし、地域との活動、その地域の魅力を発信することで宿泊施設以上の価値を提供する取り組みは、ホテルや旅館などの宿泊・観光に携わる方はもちろん、業界を問わず参考にしていただけたのではないでしょうか。
これから九州全域に展開されていくカラリトの取り組みや、魅力あふれる発信がたのしみです。
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