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他部門を巻き込んだ情報発信「ともに」に広げるフェリシモの広報PRとは|PR TIMESカレッジVol.6~分科会~

ファッションや雑貨など自社企画商品を中心に、カタログやWebでの通信販売事業を行う株式会社フェリシモ。現在では年間400本以上のプレスリリースを配信し、多くのメディアに取り上げられていますが、その背景には試行錯誤を繰り返し、広報PR担当者以外を巻き込む努力がありました。中島さんが行ってきた施策の工夫や広報PRに対する考え方について語った分科会の様子をレポートします。

株式会社フェリシモ 広報部

中島健太郎(Kentaro Nakajima)

1969年神戸市生まれ。92年株式会社フェリシモに入社。商品企画・媒体(カタログ)制作・お客さま対応・ウェブサイトマネージャー・ブランドマネージャー・イベント企画運営・東北支援事業などを経て、2013年より広報部へ。発信の電子化と数・質の拡大、PRの社内意識向上連携共同の推進、社外コラボを積極的に進める。

株式会社フェリシモ(兵庫県神戸市):最新のプレスリリースはこちら

広報PR活動の課題と転機

カタログを起点にしたダイレクトマーケティング(通信販売)事業を営むフェリシモでは、インターネット発の通販に比べ、X世代(現42~57歳)以下のY・Z世代を取り込めていませんでした。そんな中で広報PR活動を本格的に開始。着任当時は広報担当者個人目線でピックアップした情報を少数発信していました。現在の数多くの特色ある情報発信に至るまでどのように取り組んできたのでしょうか。

広報PR活動における課題

販促でWeb施策を効率化していくほど偶発的な出会いが起こりにくくなります。またカタログやウェブのみの展開では画づくりがしづらい。そのため、効率化した情報が届く販促領域の外側の人にも届くこと、取材や掲載がしやすい機会や素材を整えていく工夫がありました。

しかし、関係部門も広報PRに割くリソースに余裕があるわけでなく、新規獲得に直結する仕事が優先されます。獲得に限ればWeb広告の方が結果が見えやすく、成果が見えにくい広報PRにパワーをかけにくい時期がありました。

広報PR活動の転機

Y・Z世代だけでなくX世代もスマートフォンを使う時間が大きく伸びていることやメディア関係者もWeb上で情報収集していることから、Webでの広報PR活動を重視。プレスリリースのPRTIMESを用いたWeb配信推進により、これまでフェリシモの会員だけに届けていた情報がより多くのメディアや生活者の目に留まるようになりました。それに伴い、取材依頼が増え、生活者からの声もSNSなどを通して目に留まるようになります。

Web上で広報PR活動が進み結果が見えてくると、「自分たちの部署も取り上げてほしい」という声が各部署から出るようになったそうです。それを受け広報部で配信を増やしてきましたが、今では各事業部が自部門で情報発信ができるようにプレスリリースの書式を整備し、誰でも情報発信ができるマニュアルや書式、ルールを策定し、広報部と共同し発信をしたい部門や人がプレスリリースを配信することもできるようになっています。

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フェリシモの広報サイクルのポイント

フェリシモでは、以下4つのポイントを広報サイクルとしてとらえ、トライアルを行いながら質を高めています。

①プレスリリースによる情報発信

②メディアへアプローチ

③キャッチ(取材対応)

④バリューアップ(情報発信の質を高める)

では、各サイクルでどのような工夫をしているのでしょうか。

①プレスリリースによる情報発信

「プレスリリースによる情報発信は広報PR活動の基本であり、広報サイクルの起点」と語る中島さん。昨年は1年間で440本以上のプレスリリースを配信しています。

ここでのポイントは、プレスリリースのタイトル、写真や動画、文章表現です。メールでメディアへ届くこともあるプレスリリースのタイトルは、もっとも伝えたい主たる情報を前半に置くこと。サムネイル画像となるメイン画像には伝えたい情報を表現しかつ目に留まる画像を設定すること。文章表現は、原文転載メディアでプレスリリースが読まれた際に違和感がない、自社がメディアの方や読者へ述べた言い回しとならないよう敬語をできるだけ用いないこと。この3つを意識しているそうです。

②メディアへアプローチ

メディアへアプローチをする際は、メディアリストの宛先へメールや電話で連絡するだけでなく、製品の現物送付も実施。リースの読了を高め、レビュー記事などのパブリシティー掲載につなげています。また、世界各国からチョコレートを集めてくるバイヤー社員と連携して輸入国の大使館で発表会を実施し、大使からのメッセージを加えるなど、メディア関係者の参加増へ工夫しています。

③キャッチ(取材対応)

取材対応はメディアの種類ごとに担当を分担。力を入れているのが、要望に応えるだけでなく、「こんな担当者がいるので、ぜひインタビューをお願いしたい」と社内の人を推すことまでをセットで行います。この方法でTVの取材も獲得できたそうです。

④バリューアップ(情報発信の質を高める)

バリューアップとして、コラボ企画、製品のスタンプ化、記念日や調査を絡めた情報発信など、広報部起点でより情報を広げるための取り組みを実施しています。

また、リアルな場がないと取り上げにくいというメディアの声を受けて、ポップアップストアを他事業部と連携して店舗展開をプレスリリースしたこともあったそうです。ポップアップストア企画の狙い通り、記事化につながっています。

他部署から共有された情報をそのまま伝えるのではなく、広報PR担当が関係各所を巻き込みながら、よりニュースバリューの高い情報発信をするために工夫されている印象を受けました。

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フェリシモの広報PRの質を高める連携

広報サイクルにのせ、広報PRの質を高めるためにどんなことをしているのか。

そこには実務を進める中で重要な関係部署との連携が挙げられます。連携を強化するため、円滑に進めるために広報PR担当者の工夫がありました。

商品開発部門と連携

以前は商品完成後に広報PRの方向性を相談していたそうです。しかし現在は商品が完成していなくても早い段階から打ち合わせを行う機会が増え、販売計画を立てる段階からPR計画を合わせて考えてほしいと依頼しています。

また、早くから情報交換を行うことで、商品開発部門担当者の広報活動への理解が深まり、広報PR視点でプレスリリース用素材を用意してくれていたりと、広報PRの質を高める協力体制ができたりしているそうです。

さらに、部署によっては自ら広報PR活動を行い、広報部からは社内の誰もが広報PR活動ができるようサポートする関係性が生まれています。

広報PR活動の振り返り

連携をするうえで大切にしているのは、振り返り。プレスリリースで情報発信をした成果をPV数やヒートマップ分析、パブリシティ数・転載数を用いて振り返っています。PRTIMESの管理画面「分析データ」からもたくさんのことが読み取れます。ほかの解析ツールも併用して、プレスリリースからのサイト訪問やクリック、獲得も併せて確認して知見や改善に向け共有しています。

PV数上昇の要因やヒートマップ上で注目されたクリエイティブを分析し、その成功を次回のリリースで同じ形が作れるようにしています。連携してくれた部署も成果につながることで、さらに協力体制が強まっていくとのこと。

また、アンケート企画などの参加性を意識した活動を発信すると、情報を受け取った生活者が自分事としてとらえやすくなることも留意して広報PRをしているそうです。

質疑応答|株式会社フェリシモ 中島氏

KPIの設定に関して、広告換算値等の金額換算で確認されることはないのでしょうか?

クリッピングの結果の一環で出てくるものには目を通してはいますが、社内的には広告換算値が広報の成果としてあまり捉えてはいません。掲載数についてはどのメディアに掲載されたかという観点で他部署にも興味を持ってもらえるものの、広告換算値は一定のロジックで出た数字に過ぎないと言う意見もあり、あまり出さないようになりました。

CSR活動について初めて取り組まれた活動や印象に残っているもの等について教えてください。新しい活動が始まるのはどんなタイミングなのかが気になっています。

フェリシモでは57の国と地域にぬいぐるみを届ける「ハッピートイズプロジェクト」を実施しています。ある年、阪神淡路大震災でカリフォルニアから送られたぬいぐるみを子どものころに受け取ったたという方が「今度は誰かのために贈り手になりたい」と参加されました。その方と一緒になって、カリフォルニアの山火事でおもちゃを失った幼稚園へぬいぐるみを贈る機会を作ることができました。派手に見える活動でなくても、必ずそれを欲している方はいらっしゃると思うので、地に足をつけてじっくり行っていくのがCSR活動においては大切だと考えています。国内外に社会課題が起こったとき、ボトムアップで「~~(な支援)がしたい」と社内から声が挙がり、フェリシモの活動として実施される風土があります。また、お客さまと一緒に取り組む「基金活動」があり、基金の拠出先を定期的に選定し新たな支援先を含めた支援を行い、サステナビリティーを伴った社会性のある活動を続けています。

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分科会まとめ|株式会社フェリシモ 中島氏

最後に中島さんから、広報PR活動において大切にしていることをお話いただきました。その中のひとつとして挙げられていたのが、『「ともに」に広げる』というフレーズ。分科会の内容の中には、お客さまのしあわせを大切に考えたり、関係部署と協力してより良い情報発信を実現したりするなど、社内外において広報部門が独りよがりになることなく、協力してひとつのものを組み立てていく意識を感じました。

「ステークホルダーと良好な関係性を気づく」というPR活動において大切な点を改めて思い返すことができるセッションだったのではないでしょうか。

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https://prtimes.jp/college/

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この記事のライター

村上 伊周

村上 伊周

2018年、株式会社PR TIMESへ入社。アカウントプランナー・PRプランナーとして企業のPR活動に携わる一方で、各地の日本酒酒造のPR活動を支援するプログラムや、コロナ禍で厳しい状態にある事業者をPRの力でサポートする「4 MEETS プロジェクト」など、複数のプロジェクトにも参画し、幅広い事業者の情報発信を支援しています。

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