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「おいしい」の先にある気持ちを一番大切に。顧客接点を広げる「クルミッ子」の広報PR|株式会社鎌倉紅谷

リスくんのパッケージがかわいい「クルミッ子」でおなじみの株式会社鎌倉紅谷は、2024年10月に創業70周年を迎えた老舗菓子メーカーです。「クルミッ子」は職人の手作業による工程が多く大量生産できないこともあり、開店と同時にすぐに売り切れてしまうことでも有名です。また、毎年9月30日を「クルミッ子の日」に制定し、この日に合わせてさまざまなコミュニケーション企画を実施。その親しみやすさが多くのファンを獲得しています。

本記事では、記念日「クルミッ子の日」に合わせて実施している広報PR施策や、日々のお客さまとのコミュニケーションで大切にしていることなどについて、広報担当の山川さんにお話を伺いました。

株式会社鎌倉紅谷(神奈川県鎌倉市):最新のプレスリリースはこちら

株式会社鎌倉紅谷 企画本部 企画部 企画課 広報

山川 優海(Yamakawa Yuumi)

新卒で都内の和菓子店に入社し、店舗での販売や人事、広報を経験。結婚を期に神奈川県へ移り、ベンチャー企業の広報を担当したのち、改めてお菓子に関わる仕事がしたいと鎌倉紅谷へ入社。2019年から広報を担当している。

「クルミッ子の日」から生まれる新たな出会い

──9月30日の「クルミッ子の日」では、毎年さまざまな企画を実施されていますが、どのような経緯で始められたのでしょうか。

もともと9月30日は「くるみの日」なので、最初はこの日にちなんで「クルミッ子」のPRをし始めたのがきっかけです。だんだん認知してくださる方も増えたので、あらためてこの日を「クルミッ子の日」として申請。クルミッ子の魅力を発信し、みんなでクルミッ子を食べる日として、2022年に一般社団法人 日本記念日協会に「クルミッ子の日」と登録されました。

毎年、店舗・オンラインショップ・SNSでお楽しみいただける企画を用意していて、記念日の前から盛り上げるようにしています。今年も限定デザインの短冊型カード付きのクルミッ子を販売したり、店舗でフライヤーを配布したり、限定メニューをご提供したりなど、さまざまな施策を行いました。今年も公式X(旧 Twitter)と公式Instagramで「#クルミッ子の日2024」を付けて投稿いただいた方に抽選でプレゼントを贈る企画も実施していたので、皆さまからの投稿が毎日楽しみでした。

このような企画は年によって内容を変えており、ノベルティとして「クルミッ子」のクリップやクリアファイルを用意したこともありました。買ってくださった方がどなたかにお渡しされるなどこれまでご縁がなかったお客さま層にも、「これはなんだろう?」と興味を持っていただけるかもしれない、と想像しながら作っています。毎年角度を変えて発信することで、ずっと応援してくださっている方に楽しんでいただくことはもちろん、「クルミッ子」や弊社のことを知らなかった方と出会うきっかけになるといいなと思っているんです。

──「クルミッ子の日」、私もSNSでの盛り上がりをたくさん見かけました。熱心なファンも多いですが、お客さまとのコミュニケーションではどんな点を意識されていますか。

鎌倉紅谷は「『おいしい』の先にある気持ちを一番大切にする」を掲げている会社です。そのため広報でも、おいしいお菓子の先にあるお客さまの笑顔や幸せな時間をイメージしながらコミュニケーションするよう心がけています

また、企画を考えるときには常に飽きさせないことを意識していて、「この企業は、次は何をしてくれるのかな」「いつも面白いことやっているな」というワクワクやときめきを感じていただくことを目指しています。最近、新商品として「ポケットブラウニー」を発売したのですが、商品の情報を解禁する前に、ストーリー仕立てのイラストをSNSで発信して、何かが起きるのを匂わせるというのをやってみました。コメントで「あれ、なにか始まるのかな?」「これってなんだろう?」と期待してくださっているのが伝わってきて、こちらもワクワクしましたね。いつも、お客さまの心をどうやってくすぐるかを商品企画担当者と一緒に考えています。

株式会社鎌倉紅谷01

社長から想いを受け継いだお客さまが立ち寄りやすい場所

──SNSの運用は、もともと社長がご自身で運用されていたんですよね。

そうなんです。私が広報として入社した2019年までは社長自ら投稿を考えて運用しており、「二代目中の人」として引き継ぎました。当初は、社長をはじめ今まで関わった方々がみんなで作り上げてきた鎌倉紅谷ブランドをしっかり引き継いでいかなきゃ、という使命感でいっぱいでした。最初の頃は投稿するときに毎回緊張していたのをよく覚えています。

──SNSでのコミュニケーションでは、どんなことを大切にしているのでしょうか。

SNSは新規のお客さまとの出会いや、鎌倉紅谷のファンでいてくださる方と関係を深めるための大事なツールです。お客さまの目に触れるチャンスは限られているので、こちらから常に投げかけていかないといけません。チャンスを逃さないように、私たちがきっかけをつくることをいつも大切にしています。

それから、弊社は直営店舗がいくつかありますが、SNSもそのひとつと捉えていて、お客さまが立ち寄りやすい場所、のぞいてみたくなる場所、居心地のよい場所であればいいなと思いながら運用しています。一方的に発信しているなと思われないように、できるだけ一緒に盛り上げていただけるような企画を考えるようにしていますね。言葉づかいや写真選びひとつとっても、リアクションしやすいように心がけています。

SNSの投稿やメッセージに、本当にたくさんの温かいお声をいただいていて、弊社のことやお菓子のことを心から愛してくださっているなとひしひしと感じています。だからこそ私もこの関係性を大切にしないといけないですし、信頼感をしっかり育てていかないといけないと思っています。

株式会社鎌倉紅谷02

商品発売に合わせて情報発信のタイミングを調整

──プレスリリースも毎回とても工夫されていますが、どんな点を意識して作成されているのでしょうか。

プレスリリースで一番意識しているのは、わかりやすさです。例えば、弊社は直営店だけでなく百貨店などの店舗でも販売しているため、販売方法が多岐に渡ります。店舗によって異なる販売方法、販売条件の場合、それをいかにわかりやすく伝えるかというのは毎回すごく考えていますね。

それから、ファーストビューを見て読むかどうかを決める方も多いと思うので、タイトルやリードでいかに興味を持ってもらえる要素を入れるかも工夫しています。特に、トップに使う画像はこだわっていて、目を引くものにしています。

先ほどお話した、新商品の「ポケットブラウニー」の画像も最後まで検討を重ねましたね。ただ、写真だけではパッケージのチェック柄が伝わりづらいかもしれないという意見が挙がり、プレスリリースの中にはこのパッケージデザインの背景も加えました。

◆名前の由来とパッケージデザインの特長
 お気に入りの洋服に付いていて、いつでもどこでも一緒に、好きなものを優しく包み込んでくれる「ポケット」。そんな「ポケット」のイメージ と「ブラウニー」の親しみやすさが、どこか温かみのあるイメージと繋がること、いつでもどんな時でもお客様に寄り添えるお菓子であるようにという願いを込め、「ポケットブラウニー」と名付けました。

 親しみやすさとアメリカンレトロをコンセプトとした外箱のデザインは、ポケットが付いている洋服をイメージし、身近な存在のチェック柄を採用。主張しすぎないチェック柄にすることで、大人っぽさと可愛らしさを演出しています。また、外箱中央やフィルムに描かれているイラストは、ホームメイド感やアメリカ発祥のお菓子を連想させる、手書き調の優しいタッチで描きました。

株式会社鎌倉紅谷プレスリリース

参考:素材のおいしさを詰め込んだブラウニーで〈幸せなひとやすみ〉を。新商品「ポケットブラウニー」

また、今年は70周年記念の年だったので、それをお知らせするプレスリリースも配信しました。この節目にお客さまへ感謝の気持ちを伝えたいという方針で、周年ならではの企画にワクワク感を持っていただけるようにしたんです。

プレスリリースは基本的にメディアに届けるものですが、最近は生活者の方にも読んでいただけるようになっているので、一般の方にも読みやすいもの、興味を持たれるものである必要を感じていて。周年記念として復刻商品も作ったので、開発や製造担当者の思いやこだわりといったストーリーもできるだけ伝えるよう意識しました。

株式会社鎌倉紅谷プレスリリース

参考:鎌倉紅谷 創業70周年記念商品「70周年記念おいしさの詰合せ 和〈NAGOMI〉/彩〈IRODORI〉」

──プレスリリースを配信するタイミングはどのように設定されていますか。

配信のタイミングは毎回、悩みますね。例えば商品の発売についてのプレスリリースだと、発売日から遠すぎると関心が途切れてしまうし、近すぎると盛り上げたい期間が短くなってしまう。すべてのタイミングがうまく噛み合うように計算して配信することが必要だと感じています。弊社の場合は、だいたい発売の1週間から10日前くらいに配信することが多いですね。ただ、季節の定番品や毎年恒例の商品などは楽しみに待ってくださっている方も多いので、もう少し前に発信して「今年もあるんだ」と安心されるようにしています。プレスリリースを配信した後もSNSでいろいろな情報を発信するなど、興味を持続していただけるようにしているんです。

今後は一歩踏み込んだコミュニケーションを構想

──これから広報PRとして強化していきたいことなどがありましたら、教えてください。

まずは商品を購入してくださったお客さまへ向けて、「このお菓子と出会ってよかったな」と思っていただけるような企画やコミュニケーションを続けていきたいです。それから、このブランドを長く愛してくださっているファンの方々へ向け、さらに好きになっていただくような取り組みを強化していきたいと考えていて、この秋には初めてファンミーティングを開催(2024年11月10日予定)します。こういった、もう一歩踏み込んだコミュニケーションの機会を設けるのが今のひとつの目標で、絶賛準備中です。

また、「クルミッ子」をはじめとする製造工場や物流拠点、各店舗、オンラインショップでは、スタッフ一人ひとりが本当に心を込めてお菓子を作り、届けていますし、オフィススタッフもお客さまやお菓子のことを常に大切に考えて仕事をしています。私は広報担当として、そんな会社の人たちの思いをしっかり世の中の方に知っていただけるよう、引き続き発信していきたいです。

株式会社鎌倉紅谷03

まとめ:お客さまとの接点を創出し、ファンをつくり関係を深める広報PR

「クルミッ子」はそのおいしさで大人気ですが、山川さんのお話から、なぜこんなにも根強いファンが多いのかがよくわかりました。これからはさらにリアルな場での交流もしていきたいと語るその姿勢は、老舗企業の広報PRへの向き合い方として学びが多いでしょう。

今回のお話のポイントとして以下の4点を挙げました。

  • 記念日をうまく活用して、新たなファンと出会うきっかけを
  • ファンとの関係を深めるための施策も積極的に
  • 老舗だからこそ、ファンを飽きさせない「ワクワク感」を大切に
  • 広報PR施策は、会社が掲げる「『おいしい』の先にある気持ちを一番大切にする」を軸に

株式会社鎌倉紅谷のApril Dream(エイプリルドリーム)
最後に。鎌倉紅谷では、2022年にApril Dream(※)にも参画いただいています。「笑顔」と「しあわせ」をお届けする体験型テーマパーク「鎌倉紅谷クルミッ子パーク」を鎌倉市内にオープンするという夢は、多くの反響があったそうです。「こんなことやっている企業があるんだな」と知ってもらうきっかけになり、ただの嘘ではなく先の未来で起こせそうなことを考えるというのがすごくよかった、とお話いただきました。「クルミッ子パーク」の構想はずっと先になりそうとのことでしたが、このときに挙げていた「クルミッ子ベーカリー」の第一歩につながる「クルミッ子デニッシュパン」の販売が実現。「クルミッ子パーク」の夢に少しずつ近づいています。

来年の「クルミッ子の日」の企画はもちろん、「クルミッ子パーク」に向けた施策にも注目です。

※April Dream:株式会社PR TIMESが「エイプリルフール=ウソをついても許される日」から、「April Dream=叶えたい夢を語る日」へ変え、新たな発信文化を日本に根付かせることを目指して始めた取り組みです。

鎌倉紅谷クルミッ子パーク

参考:わくわくとトキメキが詰まった「鎌倉紅谷クルミッ子パーク」をオープンします

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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