これまでにPR TIMES上で配信されたプレスリリースの動向を振り返り、紐解いていく月間PR TIMESプレスリリースウォッチ総評。
今回も、昨年の2019年8月に配信されたプレスリリースをもとに2020年8月のプレスリリース配信に役立つ情報やノウハウを見つけていきたいと思います。学生や社会人の多くが「夏休み」を取得し、数多くのイベントが実施される8月。すぐに活用できる情報や次シーズンに向けた先取り情報など、情報発信のタイミングが重要となってくるでしょう。
2019年8月のトレンド振り返り総評
7月から気温や湿度が一気に上昇し、いよいよ8月は夏本番を迎えます。学生や社会人の多くが「夏休み」を取得するため非日常な時間を過ごすことも多く、一年を通してもイベントが多い月です。
多くの業種でイベントやフェアを行うため、予約や計画が必要な大型企画は6月や7月など早い段階で情報発信されますが、駆け込み需要を見据えた8月上旬のオンタイムな情報も多く見られます。翌9月以降は新たな季節へと切り替わるため、8月下旬に入ると次のシーズンに向けた先取り情報も出始めます。
2020年の8月はコロナ禍によって大型フェスの中止が決まるなど、季節感あるイベントも減少傾向にあるでしょう。また企業間の変動だけでなく、夏休みの短縮など生活者にも変化が強いられます。新たな生活様式が求められるいま、この情勢下でどんな楽しい夏が送れるのか、またそのためになにが必要なのか、いまと少し先の未来を明るく照らしてくれるような広報PRが求められるはずです。
(PR TIMES編集部)
1年前のPR TIMESにみる8月のプレスリリース配信タイミング
2019年のプレスリリース配信数の推移から、2020年同月の配信タイミングのヒントとなりそうな動向をピックアップし、考察していきます。プレスリリース配信数に関する2019年8月の注目ポイントは以下の4点でした。
2019年8月のプレスリリース配信本数におけるデイリー最多は1日(木)、次いで30日(金)です。月末の31日は土曜日に当たるため、その前日の30日(金)に配信が集中したと思われます。
「お盆」にあたる8月13日から16日は平日にもかかわらず他の週より60%減少と、著しく配信本数が抑えられています。夏季休暇に伴い配信を控えた企業が多いことが推測されます。その影響もあって月末月初での配信が集中したと考えられ、デイリー最多と次点の本数が前月の最多と次点を上回りました。
8月11日の「山の日」の祝日が日曜日に当たるため12日(月)が振り替え休暇となりました。そのまま13日からのお盆に差し掛かり夏季休暇が9連休となった企業も多いようです。2020年は延期が決定したものの東京オリンピックの影響で「山の日」が10日(月)に変更され、夏季休暇の取得期間も変動するのではないでしょうか。
他の月と同様に、土日祝日は減少、なかでも日曜日が少なくなる傾向にあります。31日は土曜日でしたが月末ということもあり、他週末に比べて配信本数が多い結果となりました。
2019年8月に注目を集めたプレスリリースPick Up
2019年8月当時、パソコンまたはスマートフォンでPV数やエンゲージメント率が高かったプレスリリースの中から、PR TIMES MAGAZINE編集部が独自にPick Up!プレスリリース事例から見る一言ノウハウについて、解説していきます。
株式会社朝日新聞出版のプレスリリース事例
「インスタ映え」にアサヒカメラが怒りの一撃!ギラギラした風景写真はもう要らない。
先日、惜しまれつつも休刊が発表された、国内で発行されている最古のカメラ誌の新刊発売に関するプレスリリースです。
パソコン、スマートフォンともにPV数が高く、Facebookのいいね!数が3,500超、Twitterのシェア数も1,400超とSNSのエンゲージメント率も高いのが特徴です。週間単位で見ても通常の2倍以上のPV数を記録。配信直後から話題になっていました。
生活者だけのコミュニケーションツールではなく、いまや企業のPRツールとしても活用されているSNSを題材にした特集が幅広い層の読み手に刺さったのではないでしょうか。
<事例から見る一言ノウハウ>
新刊発売のプレスリリースは定期的に発表されていますが、いまだ衰えのない「インスタ映え」に対して疑問を呈す特集の見出しのようなタイトルがインパクト抜群です。
同社から配信されるプレスリリースの多くが雑誌の表紙画像をメイン画像に設定されています。そのため、サムネイルが並ぶ一覧ではタイトルの強さが引き立ちます。その分、クリックをしてページを展開した際に映し出されるレタッチの比較画像が目に飛び込んできて、そのギャップがよりインパクトを強めたのではないでしょうか。
「インスタ映え」がキーワード登録されており、本格的なカメラに馴染みのない層にも幅広く届ける工夫が感じられます。
株式会社ポトマックのプレスリリース事例
”8月10日はスヌーピーの誕生日” 今年も「PEANUTS Cafe」に、昨年即完売した”ミニカフェグラス Happy Birthday!!!”が数量限定で登場!
世界的な愛されキャラクターの誕生日を記念した限定品発売のプレスリリースです。
PV数はパソコンからの数値が高く、SNSのエンゲージメント率もTwitterのシェア数が30弱に対してFacebookのいいね!数が1,600前後と、10代などの若年層よりも比較的年齢層の高いユーザーの関心度の高さが伺えます。
<事例から見る一言ノウハウ>
プレスリリースのタイトルが「スヌーピーの誕生日を記念して」ではなく「8月10日はスヌーピーの誕生日」と表現することによって、体言止めでタイトルに心地よいリズムが生まれます。さらに「今日は何の日」のように読み手にもインプットされやすく、毎年の恒例行事のように派生しやすくなる効果もあるでしょう。
また「昨年即完売した」と話題にもなる要素がタイトルに盛り込まれることで、より一層特別感が増してニュースバリューも増えます。
プレスリリースのキーワードには「新商品」「数量限定」などメディアに対してのフックになる情報から、「プレゼント」など生活者との接点にもなる情報まで設定されていた点も高いPV数に繋がったのかもしれませんね。
株式会社Beckのプレスリリース事例
8月11日(日)人気Youtuber「さんこいち」の古川優香がドリンクを監修したタピオカ専門店「TAPICARO(タピカロ)」が中目黒にOPEN!!
人気YouTuberが監修したタピオカ専門店をオープンするプレスリリースです。
近年ブームが継続しているタピオカドリンクに関するプレスリリースでPV数が高いのが特徴です。SNSのエンゲージメント率はあまり高くはないものの、Facebookのいいね!数に比べてTwitterでのシェア数が約13倍となっているのが興味深い結果です。
監修を務めたYouTuberが10代を中心とした若者のカリスマ的存在であることから、ビジネス利用が主となったFacebookと比べてTwitterでの拡散が伸びたと推測されます。
<事例から見る一言ノウハウ>
プレスリリースタイトルから概要が端的に伝わり、タピオカドリンクとYouTuberというホットトピックスのコラボレーションが多くの読み手に関心をもたらしたのでしょう。
メイン画像がタピオカドリンクではなくYouTuberの画像が設定されていたことから、コラボレーション相手のYouTuberをより強調したい狙いがあったようです。読み手がタピオカドリンク自体の「映える」写真を撮る楽しみも残され、店舗に行きたくなってしまいますね。
株式会社ミクシィのプレスリリース事例
羽田空港初!国内線への機内持ち込みができる空の上で飲めるタピオカドリンク 本日、2019年8月13日(火)より「XFLAG STORE + HANEDA」で発売開始
こちらも上述同様、タピオカドリンクに関するプレスリリースです。提供サービスのグッズやカフェメニューの販売を行う羽田空港旅客ターミナル内店舗にて国内線への機内持ち込むが可能なタピオカドリンクです。
パソコンとスマートフォンどちらのPV数も高いことから、ビジネスとしての面白さと根強い人気を誇るフードドリンクで、ビジネスパーソンにも生活者にもリーチしたようです。
先に挙げたタピオカドリンクのプレスリリース同様、SNSのエンゲージメント率よりもPV数の高さが目立ちますが、Twitterのシェア数に比べてFacebookのいいね!数が3倍ほどあるなど、同じ商材でもフックのちがいから波及効果にもそれぞれ特色が出ていました。
<事例から見る一言ノウハウ>
「空の上で飲める」や「旅タピ」など、メディアでも活用したくなるようなキャッチーなワードが添えられています。
プレスリリース前半部分の商品説明だけでも十分な情報量がありますが、後半にはInstagramキャンペーンの記載もあります。サブタイトル部分にキャンペーン開催について記述することで、後半部分が読み落とされないよう工夫されているのも見習いたいポイントです。
PR TIMESで話題になったプレスリリース
PV数やSNSの波及数など数値の観点だけでなく、PR TIMESで話題になったプレスリリースもご紹介します。
バイドゥ株式会社のプレスリリース事例
利用注意顔文字!?Simejiランキングが10代女子4,000人に聞いた 「おじさん」を感じる顔文字TOP10!
日本語入力ときせかえ顔文字キーボードアプリを提供する企業が10代女子を対象に行ったアンケート調査の結果が報告されています。
同社はサービスに関する情報とおよそ同じ頻度で調査結果を発表するなど、積極的にアンケート調査を行っています。こちらのプレスリリースは調査対象の10代女子だけでなく、調査内容にあたる「おじさん」世代からも強い関心があったのではないでしょうか。
サービスの開発など定期的に情報を発信するのは難しい場合もあるでしょう。しかし同社は関連性のある「自社らしい」調査を積極的に行うことで、絶えず情報を発信しサービスの認知向上を図っています。サービスや企業の認知度を高めるひとつの方法として参考になりますね。
ついプレスリリースが読みたくなってしまうような、興味深い結果をピックアップしたサブタイトル部分の活用方法にも注目です。
2020年8月のトレンド予測
8月は夏本番でイベントも増え、お盆を中心に行楽シーズンでもあります。各業種でも様々な商戦が繰り広げられ、経済が活発に動く時期にもなります。
現段階では新型コロナウイルスも収束の目途は立たず、学生の夏休みが短縮するなど、平時通りの日常に戻ることは難しいでしょう。バカンスを取るなど「夏」らしい過ごし方は変化せざるを得ず、第二派が発生した場合には県境を跨ぐ移動の規制が生じるなど、お盆の帰省事情にも影響があるかもしれません。
「withコロナ時代」といわれるように新たな生活様式が求められるいま、オフラインイベントなどは在り方を見直し、新しい夏の楽しみ方を積極的に提案していきましょう。
<編集/岡 陽香>
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